「相変わらず眞中くんの人気はすごいね」
学食に来た3人は、同じテーブルに座り、昼食を摂っていた。
「・・・・・・」
「私さ、眞中くんとこうやって話すの初めてかも。佳祐からはいろいろ聞いてるんやけどね」
「いろいろ?」
目の前の佳祐に『余計なこと言ってないやろうな』と睨みつけると、『何も言ってませんとも・・・』と無言で訴えながら首を横に振った。
「あっ、眞中くんに言わないとあかんと思ってたんよ」
「何?」
「杏子のことなんやけどね・・・」
『杏子』という名前を聞いただけで、健一の胸の中が熱くなるのがわかった。
「・・・あいつがどうしたんや?」
なかなか言い出さない美穂が痺れを切らして自ら聞いてしまった。
「ふふっ、眞中くん、よっぽと杏子が好きなんやね」
そう言われると健一の顔は真っ赤になっていった。
「健一、かわいいなぁ」
「佳祐!お前・・・」
佳祐は背筋を伸ばして「ごめん」と謝った。
「杏子ね、風邪ひいたんやって。眞中くん心配してるやろうから言わないとって思ってたんやけど、ファンの子達がいてたから言われへんかったんよ」
「あ、そう」
―――そっか、風邪ひいたんか。
健一は、表面では、あまり興味がないように装っていたが、そんなことをすることすらもう遅くて、美穂たちに笑われるネタとなっていた。
「眞中くんっておもしろいんやね」
佳祐の彼女だからか、美穂にも素に近い自分を出していることに驚いていた。
これ以上いると、素をさらけ出してしまいそうだったから、健一は食事を済ますと二人を残し、学食を出た。
.