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「杏子、知り合いからケーキバイキングの割引券をもらって、明日行くつもりなんやけど、一緒にどう?
一人、行けなくなって、割引券が余ってるんよ」
「えっ?行きたい!」
甘いものに目がない杏子は、沙知の言葉に飛びついた。
「もう一人の友達は私の中学の時からの友達で、理香っていうんやけど・・・」
「あっ、あのきれいな子やんな!」
沙知は学年でも目立った存在で、一緒にいる友達もきれいな子が多い。
そんな子と友達になれるかもしれないというだけで、嬉しかった。
「そうそう。きれいやけど、喋るとおもしろいよ」
「そうなんやぁ」
―――華代ちゃんみたいやな・・・。
「じゃあ、明日の11時に駅に集合!」
「了解!」
―――甘いものを食べて、忘れよう・・・なんかもやもやしてることを全部忘れよう・・・。
杏子の中の健一へのぼんやりとした想いは、これ以上、色付くことはなかった。