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「昨日は、うまくいったんやろうね?」


「うまくいったよ」


杉村は黒谷を屋上に呼び出し、昨日の成果を聞いていた。

その表情を見るのも嫌なので、黒谷は目も合わさずに言った。


「岡崎さんは、俺が助けたと思ってるから、杉村はもう余計なことはしないでくれ。勘ぐられたら困る」


フェンス越しにグランドで片付けをしている体育委員の様子を見ていた。

その中には、怪我をした杏子の姿はなかった。


「そうやね。じゃあ、しばらくおとなしくしてるわ。でも、さっさと、手に入れるんやで!」


黒谷の嘘を杉村は疑うことなく、黒谷の要求に従った。


「わかってる。それより、お前はなんでそんなに眞中に執着するんや?」


黒谷は、ずっと気になっていたことを聞いた。


杉村が健一にこだわる理由を。


健一の態度を見ていたら、脈がないことぐらいわかるはず。

脈がないどころか、杏子が好きだという現実まで見えてくるのに。


「そんなんどうでもいいやん!」


杉村は突然怒りだし、黒谷の前から消えた。


「・・・・・・」


―――なんやあれ?でも、なんかあるんやろうな・・。

まぁ、どうでもいいけど・・・。

さて、どうするかな・・・岡崎さんは俺が嘘をついていたのを知ってしまったし・・・。



黒谷は、杏子を手に入れる為の作戦を考えた。