「よかったん?」


顎で群れの方を不機嫌そうに差した美穂の嫉妬に佳祐は喜びを隠せなかった。


「俺は美穂がいてくれたらいいよ〜」


耳元で囁く佳祐に対して、真っ赤な顔をしながらも「やめてよ!」と強がる美穂に隣にいる杏子でさえ、かわいいと思ってしまった。


「ラブラブなんはいいけどさ、私もいること忘れんといてな??」


杏子は咳ばらいをして存在感を示した。


「杏子!」


後ろから呼び止められたので振り返ると、そこには笑顔の沙知がいた。


「沙知!あっ、委員会?」


「うん。中西先生が捜してたよ」


「じゃあ、美穂、今日は先に帰っててね」


沙知と並んで体育館へと入って行き、残されたのは美穂と佳祐だった。


「佳祐、お前よくも逃げやがったな!」


「け、健一・・・。あっ、体育委員の仕事あるみたいやで?」


「・・・お前、覚えてろよ!」


健一は、怒りもおさまらぬまま、体育館向かった。