決勝戦は午後からなので、美穂と一緒に教室に戻った。


「眞中くん、かっこよかったね!」


「前田くんも黒谷くんもすごかったね!」


教室に戻ると3人の話で持ち切りだった。

当の本人たちは、学食で昼食をとっているのか、いなかった。


「美穂、あんなに前田くんが騒がれてて、妬かないん?」


「う〜ん。馴れてるかな。あぁ見えて、中学の時はモテてたからね。今では眞中くんのオーラに影をひそめてるけどね」


美穂は笑いながら、『彼女の余裕』を見せていた。


『体育委員は1時に体育館前に集合してください』


校内放送に耳を傾けると、杏子は慌ててお弁当を食べ進めた。


「あと10分しかないやん!」


「体育委員も大変やね」


「私は、力仕事は免除してくれてるから、まだましよ」


杏子は、お弁当を掻き込みながら返した。



「キャー!!」


突然の教室内の歓声に杏子たちは驚いた。

教室に入って来たのが、佳祐であったことに、さらに驚いて美穂は口が開いたままだった。

そんな黄色い声なんて気にせず、佳祐は美穂の元にやって来た。


「なんか、浦島太郎状態?」


―――それは、龍宮城へ行った時の状態?龍宮城から戻って来た時の状態?


佳祐の言葉に若干疑問を抱きながらも、杏子は「お疲れさまと声を掛けた。


「なにデレデレしてんねん!」


―――ふふふ・・・やっぱり妬いてるやん。


美穂のかわいい一面を見れて杏子は嬉しかった。


「じゃあ、私行くね」


美穂と佳祐を残し、杏子は体育館へ向かった。