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体育館に入ると、すでに美穂たちの試合は始まっており、佳祐は杏子の隣に陣取った。


「岡崎ちゃん、足大丈夫?」


「前田くん・・・うん、大丈夫」


佳祐は、笑顔の裏に不安が見え隠れしてそうな感じを受けたが、その瞬間会場が歓声に包まれたので、コートの様子を見た。


コートでは、5組の相手チームである2組のバレー部が得点を入れたので盛り上がっていた。


「どう?試合は?」


佳祐は、試合の様子を聞いたが、杏子は眉間にシワを寄せ、首を振った。


2組対5組の試合は1セット目。


『10-1』で2組がリード。5組のチーム内の様子を見る。


―――杉村がいてるやん・・・ってか、あいつが明らかに邪魔してるやん。


選手交代もするが、全く歯が立たず、1セット目は完敗した。


2セット目も流れは変わることはなかった。

最後まで諦めるなと言いたいところだが、佳祐もこれは無理だと判断した。

佳祐がため息をついていると、杏子が佳祐に声を掛けた。


「前田くん・・・昨日、私を助けてくれたのは、眞中くんなん?」


不安げな顔をして聞く杏子は、真実を知りたかった。

美穂とも話をしているはずだが、黒谷のことまでは話すことができなかったのだろうと感じた。


「そうやで。黒谷がなんと言おうと、助けたのは健一」


佳祐は、先程健一から聞いた真実を杏子に伝えた。


「じゃあ・・・なんで眞中くんは居てくれなかったん?」


「黒谷に、健一が岡崎ちゃんに『近づかんといて』って言ってたのを指摘されたらしいよ。だから、黒谷と代わったみたい」


佳祐の言葉に、杏子は何も言わず黙っていた。