小学校の卒業式の日。
式も終わり教室に戻ろうとした時、廊下の隅で泣いている男の子がいた。
―――ガッくん・・・・。
彼は大きな体を揺らしながら、泣いていた。
杏子は、彼に近づき、持っていたハンカチを彼に渡し、みんなの元へ走って行った。
水色と白のチェックのハンカチ。
端には青色の糸で『OK』と刺繍されていた。
それ以来、彼とは離れ離れになってしまった。
しかし、あのハンカチを持って来てくれるのではないかと、淡い期待をしていたのだが・・・現実はそんなにうまくはいかなかった。
―――でもなんで?このハンカチは誰が持っていたん?黒谷くんが持っていたの?
杏子が考えれば考えるほど、謎が深まって行くような気がしていた。