ノイエもそれを合図に張っていた結界を解くと、クリスタルの柱に向かって手をかざし、波動を読み取りはじめた。



「へ…陛下、ロイズ…大丈夫ですか?」

すざましい邪気をまぎらわそうと、ノイエは背後の二人に話しかけた。

「私は、全く問題ありません…」

フレイルは、ほぼ平常と変わらない様子で答えたが、ロイズは邪気の影響をモロに受けて、気分が悪そうに答えた。

「…何とか…読み取れましたか…?」

「何とか、ね…じゃあ、せ〜ので、行きましょうか?」

「はい…!」

フレイルとロイズは答えた。

「では、せ〜の…」

ノイエの合図で、フレイルとロイズは同時にセーユをかまえると、美しい音色を奏ではじめた。


クリスタルの波動と、逆の波動を奏でていくと、クリスタルの柱が少しずつ震えはじめた。

二本の柱が互いに共鳴をはじめると辺りが、じょじょに浄化されていく…

ノイエは反転した波動を伝えるのに必死で、二人の演奏に耳を傾ける余裕も、今の状態がどうなっているのかも分からなかった。