「あ、それもムリだと思います、陛下…」

「え?どうしてですか?ノイエ…」

「ロイズが二つのクリスタルの波動を、読んでいる余裕はないと思います、邪気的に…情けないですが、気を失わないようにしているので、いっぱいいっぱいでした…」

ノイエが、現地を見て来たから言えるアドバイスをした。

「そ…そうですか…」

「勝負は、一発勝負だと思います…」

「…」

ノイエがそう言うと、フレイルとロイズは気を引きしめた。





「…ロイズ…どうしたの?」

「あ…起こしてしまいましたか…」

あと数時間で夜が明けるという頃に、ロイズはフレアの部屋を訪れた。

顔を見てから行こうと考え来てみると、寝ていたはずのフレアが、ふいに目を覚ましてボンヤリとロイズを見ている…

「…何でもないですよ、フレア…お休みなさい…」

「うん…お休み…」

ロイズが優しく微笑むと、安心してフレアはまた眠りについた。

フレアとユラの寝顔をもう一度見ると、ロイズは部屋を出て行った。

封印の現場…アルーシャ王国の、遺跡に向かうために…