困ったように笑ってから、千明はようやくぽつりぽつりと話し出す。



「俺さ、正直親父とはあんまり良い関係じゃないんだよな。

でも、さ。
あいつは俺の父親である前に、ここの所長で、俺は従わなきゃいけない立場だってことは分かってるんだ。

だから割りきろうとしてるけど、なかなか割りきれなくてさ。あっちは、完全に割りきってるっていうのにな」



困ったような笑みは絶やさないまま、千明はゆっくりと言葉を紡ぐ。

なんだかその笑顔は、ひどく自虐的に見えた。


自分の親がえらい人っていうのも、大変なのかな......。



「そ、か、うん......。
私も御堂先生のことはよく分からないから、どう思ってるか分からないけど......。

所長でもあるけど、千明のお父さんでもあるんじゃないの?
割りきってる割りきってないは関係なしに」



自分が何を言ってるのか、よく分からなくなってきた......。


だって千明が、親子である自分たちが、まるで所長とサイキックの関係しかないみたいに言うから。

それは違うんじゃないかなって思ったんだ。
お互いがどう思ってたとしても、親子ではあると思うから......。