必死に食い下がる私に、千明はやっぱりぎこちなく笑うだけ。

そっとしておいた方が、いいのかな。


千明のためというよりも、自分がこんな千明を放っておけなくて、私は千明をひきとめる。

どうすれば千明にとって良いのかが分からないよ。



「ほんとに、大丈夫だから。
グチったり、弱音吐くなんて、俺らしくないだろ?
つーかさ、ひくよな?」


「ひくわけない。
誰だって、そんなときはあるよ。

千明が話したくないなら無理には聞けないけど、もしも話してくれるなら聞くから......」



痛々しく愛想笑いする千明の腕をつかんだまま、はっきりと千明の言葉を否定する。

明るい千明も、元気のない時の千明も、全部同じ千明だよ、と。


私は、千明の太陽みたいに明るいところが好きだけど、地球を照らす太陽だって夜には見えなくなる。

千明だって辛い時まで無理していつものように笑ってたら、きっと疲れちゃうんだ。


今まで見たことない千明に戸惑いながらも、私は千明の手を離さなかった。

ううん、離せなかった。


今手を離すと千明が消えてなくなっちゃいそうな予感がして、離さないようにと、ぎゅっと手をにぎる。