「お前、完璧マークにはめられたんだよ。」
「え?はめられた?」
「僕がアルを殺すわけないでしょ~?マリア・オルコット嬢。」
「な、何で私のこと・・」
「・・まぁ後で話す。取りあえず、マーク。このドア直しとけよ。」
「ちぇ。いい演出のつぎは肉体労働かよ~。」
「マリアをいじめるお前がイケない。」
「だって可愛かったからついね~。」
「まぁいい。おい、マリア行くぞ。」
「ど、何処へ?」
「あ?俺らのアジト。ほれ、着いてこい。」
アルとマークと言う男に連れられるがまま、船室から出ると、船は知らない島へ上陸していた。
町というものは一切なく、ジャングルのような森が生い茂っている。
「さっさと来いよ、マリア。」
「え?私船から出てもいいのですか?」
「あぁ。ここは俺らの縄張りだから海軍も情報屋も居ねぇから安心しろ。」
「そ、そうなんですね。」
「まぁもうバレてるんだけどね~。」
マークと言う男はヘラヘラと笑って、天に手を上げた。
「な、何をしているんですか?」
「ん~?僕のパートナーがそろそろ来ると思ってさ!」
「パートナーですか?」
「あ、来た!」
「?」
息を飲もうとしたその時、
「ピエエエーエーエーエーエーエーエ!」
「きゃ!」
マークと言う男の腕に大きな鳥が舞い降りてきた。
くちばしは黄色く、白い頭にからだは茶色い大きな鳥。
「わ・・鷲ですか・・?」
「よくわかったね!箱入り娘だから知らないと思ってたよ~。」
確かに見たことはこれが初めてのこと。
外に出れない私とマーリンは書物を漁っては、動物図鑑や歴史、様々なものを読んでいた。
特に動物図鑑は特別な思い入れがあって、破れてしまうぐらいマーリンと一生懸命見ていたのだ。
「よく妹のマーリンと読み漁っていました。
本物を見れないかわりに、動物図鑑を見てイメージを膨らませておりました。」
「本当に箱入り娘だったんだね~。」
「はい。父は私たちが16になるまで外へ出そうとしませんでしたから。ですが16になった今も外出は一度参加したお茶会のみで・・。」
「息苦しかったでしょ?」
私の話を黙って聞くアル。
そして心配そうに促してくれるマークと言う男。
やっぱりこの方々は優しさで溢れている。
「ですが今こうして長期外出をしています。それに本物の鷲を見れただけで私は嬉しくて仕方ないのです。」
「じゃあ後でサラと遊んでみる?」
「サラさんと言うのですか?」
「そうなんだ。ね、どうかな?」
「是非お供させてください。」
生い茂る森を進むと、木で出来た大きな家が佇んでいる。
家のまわりにはツルがびっしりと生えて、遠目から見れば家があるとわからないほどだ。