「!」



突然のことにからだも硬直し、声も出ない。



「この手を使えば、お前は黙るのか?」


「は、放してください!」


上昇する私の体温。
心臓は異常なほど暴れだす。

平静を装う態度もアルからすれば、全てお見通しなようで「ククク」と喉を鳴らして笑い出した。



- - -完全に遊ばれてる!



「人を遊び道具程度にしか考えて居ないのでしょう?!放してください!」


「遊び道具か。それも良いな。」


「人でなし!」


「海賊に優しさなんてねぇよ。」


「ろくでなし!」


「・・冗談だ、ばーか。」


「!」


「お前は充分魅力的だ。」


「え?」


「だからこれ以上妬かせるな。本気で閉じ込めるぞ?」


「ひっ!」



狼狽える私にまた悪魔のような笑い。
だけどたまに見せる優しい笑顔は反則だ。



「・・?何の音だ?」


「音?」



アルが言葉を放ったと共に、船が大きく揺れた。