『あちらのものでしょう。』
風に乗りながら 光紀は囁いた。
「そうじゃ。」
答えた。
我たちの目線の先には
早歩きで森を抜けようとする響愛の姿。
『日が昇っているうちに
帰ればよいのだ。
龍華様がそうとう心配だったんでしょう。』
「そうだとよいのだが。
ひびあーーーー!!!!」
光紀の上から 地上へ叫んだ。
響愛がこちらをみあげた。
『ひ、ひめさま!?』
「まて、今おりる。」
――――――シュタッ
『大丈夫ですか?』
響愛が不思議そうに尋ねる。
「うむ。大丈夫じゃ!
光紀。もどれ。」
龍華が低い声でつぶやけば
たちまち着物の絵にすいこまれた。