あれは、春が終わろうとする頃だった。
私は、教室掃除の当番に当たっていた。
もちろん、舞岡君も同じ班で。
「先生、これから会議なんだ。
皇野と舞岡で仕切ってやってくれないか?」
「わかりました…」
私は渋々答えた。
あの時は舞岡君のこと、
うるさいやつだとしか、思ってなかったから…
「先生、任せてください♪」
ニコニコして言う、舞岡君。
ホントに、この人は謎だった。
私や女子達、舞岡君は、
黙々と掃除を続けた。
すると…
カツンッ!カンッ!!
金属がぶつかり合う音がした。
「こんにゃろ、やったなぁ?笑」
「お前こそ笑」
と、ふざけて遊ぶ男子が、2人。
私は注意しようとした。
「あのさぁ、掃除、真面目にやっ……」
と、注意しかけた時、
男子達が使っている、金属棒が降ってきた。
「あぶないっ!!!!!」
「きゃっ!!」
ガツンッ!!
「痛ってぇ…。」
そこには、私をかばう、舞岡君の姿が。
後ろからぎゅっと、抱きしめられている。
「舞岡君っ、大丈夫っっ?!?!」
「平気平気♪それより、麻里菜、大丈夫だったか?」
ドクンッ。
私の心臓が飛び跳ねた。
心配して私をのぞき込む彼。
その瞳に、香りに、やられてしまった。
「あ、全然大丈夫っっ!もう、大丈夫だよっっ。」
バタバタと焦って、離れる私。
「そっか…♪よかった…。」
ほっとして、安心した表情を見せる、
舞岡君。
私は一瞬で彼に心をうばわれた。