居酒屋を出た私たちは、少し歩くことにした。


今日は、昨日までの雨が上がり、空には星が見えていた。


行き交う人たちも週末ということもあり、何だか浮き足立ってるようだ。

でも、私たちはさっきから無言で歩いている。

どうやら、彼は何かを考えているみたい。




「二人で誕生日を祝おう」


名案を思いついたとでも言いたそうな口調の彼の目は、子どものように輝いていた。


「うん」


私は、素直に彼とお祝いがしたいと感じたので、彼の顔を見上げて頷いた。


それでも、21時近くにもなれば開いているケーキ屋さんもなく、近くにカフェもなかった。


「コンビニしかないや」


と渋々、コンビニで1個350円のショートケーキとジュースを買って近くの公園に来た。


「ごめんね・・・こんなケーキしかなくて」


「いいよ」


彼にしては渋々かもしれないけど、私にしては素敵なお祝いだ。


自然と笑顔になるのがわかる。


そして、私の表情を見て安心したのか、彼も笑顔になっているのが、街灯が薄暗い中でもわかった。


「じゃあ、奈々ちゃん、誕生日おめでとう」


「孝太郎くん、誕生日おめでとう」


そうお互いに言うと、見つめ合い、笑いあった。


梅雨の明けていない七夕は、珍しく晴れていて、星がきれいだった。


「あっ、流れ星!」


二人同時に言った後、二人は流れ星に願いを込めた。



――ずっと一緒にいられますように――



「奈々ちゃんは何をお願いしたん?」


「秘密」



今日、初めて会った人とずっと一緒にいたいなんてことを言えるわけがないので、笑顔で返した。