「な、奈々ちゃん?」
彼は、動揺しているようだった。
「・・・私に魅力がないから・・・しなかったんでしょ?」
しどろもどろになりながら、いつもの私なら聞かないようなことを聞いていた。
「奈々ちゃんを大切にしたいから、簡単にそんなことはできなかったんやで・・・魅力的過ぎるから・・・」
そう、落ち着いた口調で言うと、私を優しなき抱きしめてくれた。
その言葉が彼の優しさなのか、本音なのかを聞きたくて、彼の顔を見上げた。
「ほんま?」
彼は、少し呆れた顔をしていた。
ここまで言わせて、まだ疑うか?とでも言いたそう。
「ほんま。今が俺の初恋やからな」
少しクサイ台詞も、彼なら許せる。
そして、この言葉が本音なんだと感じることができたから、嬉しくて自然と笑顔になるのがわかった。
私の表情を確認すると、彼はそっと私と唇を重ねた。
一瞬だけ触れただけのキスだったけど、スマートで彼の経験値が高いことが分かった。
「やっぱり馴れてるよね」
「奈々ちゃんとするまでの練習ってことで・・・許して?」
ほら、こんなこともさらっと言うでしょ。
「わかった。でもこれからは、あかんよ」
「もちろん」
きっと、たくさんの女の子と遊んできたんだろうけど、彼の言葉は信じることができた。
だって、心の中の声を漏らしたり、動揺していたから。
だから、信じられると思った。