彼には好きな子がいる。

野球部のマネージャーで自分から見ても可愛いと思う。


河野真姫ちゃんだったかな。

彼は廊下でその子を見たり、会ったり、話したりすると一々、俺(主人公の一人称)に報告してくる。

「真姫ちゃんがね。あの真姫ちゃんがね。おはよって言ってくれたんだよ。おはよだって!」

「はいはい。うん、良かった良かった。」

「そんな興味無いような返事しないでよぉ。オレまじで今月中に彼女作っかんね。」

「せいぜい頑張りなさーい。」



毎日、その真姫ちゃんについて語られるのが俺たちの会話の大部分なのだが、………聞いてるだけでこいつが幸せ者だってわかる。


なんてったって夢中なんだから。