旬さんに着いて来たところは、人の流れから少し離れた場所だった。


「実はここ、穴場。花火も見えるし、座るところもあるし。」

「へぇ〜、そんなんですか!」

「座って、花火始まるまで食べよ。」

「はい!」

私たちはベンチに座った。

「唐揚げ…どうぞ。」

「あ、ありがとう。」


ベンチは思ったよりも小さく、隣に座る旬さんとの距離は近い。

肩が当たるくらい。



「俺が未玖と付き合ってることさ、教習所の人みんなに知れ渡ったみたい。」

「え、まじですか!」

唐揚げを食べながら話す私たち。

「まあ、佐々木さんには見られてたしね〜。佐々木さんは俺の気持ちに気付いてたみたいだし?」

「私も…佐々木先生には何かわかられてる感じがしました。彼氏いるの?って聞かれたり。」

「あ〜、未玖に彼氏がいてないこと、佐々木さん教えてくれたわ!そう言えば!」

「え、そんなことが!?」

「あの人、実は恋愛のプロ。今の奥さんと結婚するまでの話とかすごいよ。それに、教習生の女性陣からの人気すごいし。」

「確かに!私も卒業時のアンケートで良かった教官に佐々木先生の名前を書きました。楽しかったし。」

「俺は?」

ぐっと顔を近付けられる。

「も、もちろん書きましたよ?良かった教官に、旬さんのこと…。」

「って、実は書いてくれてたの知ってたけどね。」

「えっ!?」

「だって、あの日卒業した20代女子で俺が担当したことあるの、未玖だけだったから。」

すごい得意気な顔。

「わざと言わせましたね〜?」

「もちろんっ。」

そう言ってパクッと唐揚げを食べる旬さん。