ようやく駅に着いた。

花火大会の最寄り駅ということもあり、降りる人も沢山。

今日は浴衣だし、歩くのも遅くなっちゃう。
それに、こんなに人がいると旬さんと離れちゃうんじゃないか、って不安になる。


「待って待って〜、私の方が先に行くの〜!」
「僕の方が〜!」
「ちょっと待ちなさい!他にも人がいるでしょ!!」

「え、」

後ろから勢い良く走ってくる子ども。
それを追い掛ける親。

思わず足を止めてしまう。

と思ったら少し前を歩く旬さんと私の間に人が…。

離れちゃう…。


前の人、歩くの遅いし、追い抜かせないし…。



すると、それに気付いた旬さんが止まってくれた。

「ごめんごめん、ちょっと先歩いてたら…。こんなけ人がいてるとはぐれちゃいそうだもんな。」

私は旬さんの隣を歩く。

「はい。」

「え。」


はい、と言いながら手を出す旬さん。

「はぐれても知らねーよ?ほら。」

そう言いながら、私の手を…。


「離すなよ?」

「あ…はい!」

しっかりと繋がれた私と旬さんの手。


初めて手を繋いだ。



私の手より一回り大きい手。

すごく温かくて、安心する。