ぱちくりと瞬きをした宗太が大声を上げる。

「咲夜さん、彼氏いないんですか?!」

直球も直球、ド真ん中。

素直な反応に、咲夜はくすと笑みを溢した。

「残念ながら。」

「や、全然残念じゃな…!って。

いや、その…」

ぱっと否定し、がっつき過ぎているだろうかと視線を落とす。

その胸中すら咲夜には見えすぎる程に見え見えで。

全く経験値が違う。

宗太もそれを自覚したらしく一瞬黙った。

膝の腕で拳を握る。

少しの間黙って何事か考えていたようで、何か思い立ったように、キッと咲夜のほうを見る。

「僕は咲夜さんの料理、…食べてみたいです」

それが言いたかったらしい。

咲夜にとっては相手の台詞が意外だった。

散々得意では無いなどと言っているのに。

少し目を見開いたが、すぐに笑顔になった。

「あら、本当?

なら今何か、簡単な物でも作りましょうか。」

ほどけかけていたエプロンの肩紐を結び直したりして、案外やる気っぽい。

「あ、お金は取らないから安心してね?

値段を付けられる物でも無いし」

だから期待しちゃダメよ、と悪戯に笑う咲夜。

宗太はそれを受けて笑い、少し宙に視線を泳がせると

「えっと…じゃあ、ナポリタンお願いしてもいいですか?」

と注文した。

少し、どころかだいぶ幸せオーラが出ている。

肉眼で観察できるレベルかもしれない。