私が教室に戻ると…

「帆乃香‼︎」

寿也くんに呼ばれた。

「寿也くん?どしたの?」
「三吉先輩とどういう関係なんだよ」
「え、三吉先輩……?」

なんでそんなこと聞いてきたのだろう。


「そうだよ!さっき、三吉先輩に会って、帆乃香に会いに行くって言ってたから…」
「と、友達!」

私はその言葉を咄嗟に口に出す。

あれ、でも、おかしい……。

先輩と後輩の関係なのに、
友達でいいのか……?



「と、友達か。そかそか」
「でもなんで…」
「いや、冨樫のこと……」
「……!」

私はビクッとした。
寿也くんの後ろに…

「俺の事話してんじゃねーよ」

冷たく降りかかる声。
いつもとは違う眼差し。




知ってるはずの人なのに、
どうしてだろうか。


まるで別人だ。


「陽斗……」
「なんだよ」

私にも向けられたその眼差しは
大好きな柔らかいものじゃなく
突き刺さるような痛い物だった



「てか、なんなんだよ」
「ぇ……」
「別れたんだから、関わんなよ」


その言葉がどれだけ私にとって
辛いものか。



いつしか、目から涙が溢れ出る。


「そ、んなの……、わかってるわよ‼︎」

私はその場にいたくなかった。
大好きだった人が、
こんなに変わっちゃうなんて…。




ただ、それだけを思う。









「ウザいから泣くなよ」




そう言われた時、
私は陽斗の腕の中に
すっぽり入っていた。




「ぇ……」
「うぜーから泣くな…」
「……ぅん…」
「私はお嬢様を守らなければ…」


今までの口調とは違い、
付き合う前の口調になった結城を
また懐かしく思った。
でも、同時に
なんで戻ったのかわからなかった。








大好きなはずなのに……