_____家に着いた時。


「おかえりなさいませ…お嬢…さ、ま」
「ただいま」

結城ではなかったが
その執事はすごく驚いていた。

なぜなら、私が屋敷に
友達を連れて来るなんて
今までなかったのだから。

私は自分の部屋の扉を開けた。

「いい匂い。花の匂い?」
「うん、結城が用意してくれてるの」
「さすが陽斗くん!帆乃香の気持ちをわかってるね」
「…ぅぅ…」

私は俯く。
照れ隠しだ。

「またまた、照れちゃってー‼︎」
「や、やめてってば!」

顔が真っ赤になる私を見た胡桃は
AngelSmilesのショッパーを持って
私のところに来た。

「ねぇ、帆乃香」
「なに?」
「この服きてみてよ‼︎」

そう言われて、
私は…恥ずかしがったが
1度この姿を結城に見せたかった。

「うん‼︎」

胡桃には部屋で待っててもらい、
私はささっと着替えた。

サンダルも履いて、
胡桃のところに行くと…

「胡桃…お待たせ」

こっちを見て胡桃が頬を赤く染める。

「か、可愛い…」
「え?」
「可愛すぎるよ‼︎帆乃香‼︎」

胡桃にそう言われて
すごく嬉しかった。
でも、照れくさい。

「あ、アクセサリーつけてなかったね」

胡桃はそう言って、
ネックレスとブレスレットを
つけてくれた。


「うん!やっぱり、可愛い‼︎」
「そ、そうかな…?」
「うん‼︎あ、髪結ってあげる」
「ありがとう…」

胡桃は私の髪を結いながら…

「帆乃香…」
「なぁに?」
「この恋が初めてでしょ…?」
「うん…」
「だったら、大事にしないとね」
「…どゆこと?」

『この恋が初めて』


なぜ、胡桃に分かったのだろう。



小学校の頃から同じだから?

それでも一緒にいた期間は短い。

なのに、なぜ…?





「帆乃香の目ね」

私の目…?

「ずっと、その人を見てるの」
「…結城を?」
「うん」
「…」
「恋してる証」


そう言われてドキっとした。


『恋してる証』
その言葉で結城のことを
もっと意識してしまった。





好きだから…
大好きだからこそ






結城のことを意識してしまう。






「帆乃香は一番身近にいる人を好きになったんだよ」




私の顔はもっと赤くなる。




「はい、完成」

私は鏡を見た。


「これが私…?」
「そうだよ」

今までの私とは違う
別人のようになっていた。

「ありがとう、胡桃」
「いえいえ‼︎」
「私、そろそろ帰るね」
「うん。またね‼︎」



胡桃は私の言葉を聞いてから
部屋を出ようとした。

「あ、帆乃香」

そう言った胡桃は私の方を向いた

「なに?」
「言い忘れてたこと」
「ん?」





胡桃に言われた言葉は
私に魔法をかけてくれた。





今まで以上に頑張れる言葉。
そして、私に変える意識を
持たせてくれた言葉。









『恋する乙女は可愛くなってるし
これからも可愛くなれるんだよ‼︎』
















_____胡桃…ありがと。