「あの、お嬢様…」

結城にそう言われたが、
私は返事すらできなかった。

(なんで、急に…)

「お嬢様…?」
「出て…」
「お嬢様…?」
「私の部屋から出て行ってよ‼︎胡桃のとこに行きたかったら、ついていけばいいじゃない‼︎私のことなんか気にしないで行ったらいいじゃない‼︎」
「え…」
「結城は…私より、胡桃のほうがいいんでしょ⁉︎だったら、胡桃を守るべきだよ…」
私は涙目になりながらも
結城に言った。
声も震えていた。

こんな感情になることは
初めてで、
『恋』の始まりも
未だわかっていない。




でも、よくよく考えれば、
答えは出てくる。





私はヤキモチを妬いているのだろう。







くすぐったいあの感じも、
今みたいに苦しいことも、
全ては結城 陽斗に
『恋』をしたからなのかもしれない。