校門から出てすぐに
えらくなってしまった。

そんなに走ってないはずなのに、
結構走った感じがした。


屋敷にはもう戻らない。
だから、自宅に向かう。




「帆乃香‼︎」

陽斗の声。
なんで追いかけてきたの。


「…はぁ…はぁ…、な、なに…」
「ただいま…」

彼は笑う…。
ずるいよ。
そんな笑顔をわたしに見せないで。

見せる人が間違ってる。


「お、おかえり…。じゃ…」

わたしはまた走ろうとした。

「どこ行くの?屋敷に戻るよ?」
「離して‼︎」

そう言ってわたしは手を振り払う。


「せっかく、人が次の恋に進もうとしてるのにっ‼︎なによ‼︎」


わたしは屋敷と反対方向に向かう。


数分後。
自宅に着いた。



「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
玄関に入って
すぐにバタンと倒れてしまった。


なにしてんだろ…。






気がつけば周りの音は
聞こえなくなっていた。