「帆乃香?」
「陽斗……」

私はつい名前を……っ



「ぇ……」
「あ、えと……」







どんどん彼が近づいてくる。










「あ…俺な、宮帝高校でピッチャーしてんねん」










え?
いま、ピッチャーって言った?










キャッチャーじゃないの?










「え、そ、そうなんですか…」
「うん…」







すると…、









「帆乃香?」










いつの間にか私の後ろにいた
陽斗に声をかけられる。







振り向くと顔が近い…







「胡桃たちが心配してた」
「ご、ごめん…。すぐ戻るつもりだったんだけど…」
「うん…、あの…」




陽斗は悠介くんと向き合った。






「…なんで悠介が、ここにおるん」








初めて聞いた。
陽斗の関西弁。









関東人だったって
信じ込んでた。









関西人だったなんて…。









「…久しぶりやなぁ…」
「そ、そやな…」





なぜか気まずい。








「なぁ、陽斗…」
「なんや…?」
「…なんで中3になってから…、おらんくなったん⁈」








悠介くんの声が震えてる。
それだけ、大切な仲間だったんだ。









私…の家の事情。








そう、私…の、家の事情で……、







本当は……、








陽斗だって、
悠介くんと離れたくなかったはず。











なのに……。











「…うちの事情や」
「そか」










なぜか、彼らの間で解決している。










私の家の事情なのに。