あの後すぐ、玉川君は何もなかったかのように「DVD観ようぜー」と言い出した。




写メの事とか、相沢さんとの事とか、「付き合おう」と言われた事とか、悶々と気になる私がDVDを観る気分じゃないって事ぐらい分からないんだろうかと、私は返事をせずに黙っていた。




そして考えた結果。




「相沢さんにこの事言うよ」




と玉川君を逆に脅すつもりだったのに……。





「言っとくけど、優希に言っても俺の方信じるよ、あいつなら」





先読みした様に玉川君は真面目な顔で言った。





(確かに……そんな気もする。相沢さんに話すのは一か八かの大博打する気持ちで言わないと、玉川君を信じた時の私へのデメリットが強すぎる)





「まだ死にたくないよね?」



「はい……」




「じゃ言う事聞いといた方が良いんじゃない?」





玉川君はテレビ台の棚からDVDをごそごそと探しながら、何だか他人事の様に話す。





きっと相沢さんの事が信用出来なくて、でも相沢さんの事が好きで、不安な寂しさをどこかで補いたいんだろうけど。





その寂しさを補えるのが私なわけない……。



補えるのは相沢さんだ。





「ご、ごめん!玉川君!」

「は……?」





玉川君の背中に謝ると、私は気付けば玉川君の部屋を逃げ出していた。