「そうなの?橘」


「え……うん。本当です……」







鋭かった視線は丸く見開いて、ぽかんと開いた口。





そんな今までの怖かった表情とは全く違う玉川君の顔を見ながら、私は首を縦に振る。






(誤解解けたのかな……?)





そしてホッと安心する暇もなく、今度は教室のドアの方から声が聞こえてきた。





とても聞き慣れたその声は、緊張するようにおずおずと話した。







「あの、涼花……あ、いや、橘さん、に用があるんだけど」







いつの間にか一人の男子生徒が立っている事に気づくと、私も教室にいる生徒達みんなもドアの方へ視線を向けた。