翌日の朝、下駄箱で待ってましたと言わんばかりに仁王立ちしていた相沢さんを見ると、神様って絶対いないと思った。






「橘さん、ちょっと顔かしてくんねぇ?」





顎を上げて目を見開き、胸の前で両腕を組んで、不機嫌そうに睨み付ける姿は迫力があって怖い。




怒らせたくない人っているけど、正しく相沢さんの事だ。



(玉川君の嘘つき……もう私を巻き込まないって言ったのに!!)




「は、はい……分かりました」

「よし」



ちょいちょい、と人差し指を二度曲げ「来いよ」とジェスチャーされる。




これから何をされるか分からない恐怖に、私は生まれたての子鹿の様に両足をブルブルと震わせた。