(もしかしてミヤビちゃんも、優希ちゃんの悪口一緒になって言ってるのかな……? 優希ちゃんが玉川君の元カノだから)





「橘、あのさ」






体育館を出て誰もいない渡り廊下の隅で立ち止まると、藤崎君は私の方を振り向いた。




(……急にドキドキしてきた。話ってなんだろう。優希ちゃんの言うとおり、もしかして付き合おうって言われるのかな……?)





じっと真顔で見つめられると、目をそらさず私は聞き返す。





「何……?」

「相沢から聞いたんだけど。……その、深瀬のこと。だからもう遠慮はしない」





俺と付き合って、と藤崎君が続けると、気持ちの良い爽やかな風が私達の髪をそよそよと揺らした。