錯覚か、ごごごごと地響きのような低い音が聞こえてくる気がする。





「サル!? いや、アンタ豊臣秀吉なの!?」





深瀬さんが相沢さんの方を振り返ると、目を見開きながらそう言った。



相沢さんは顎を引いて深瀬さんを睨みながら、叫んだ。





「拙者、必ずや殿をお守りもうすぅぅぅ!!」






周りにいる下校中の生徒達がチラチラとこっちを見て指差したり、ヒソヒソと内緒話をしつつ避けながら横切っていく。




(恥ずかしい……。他人のふりしたい……二人共歴史好きなんだ……それは良いけど、ついていけない)





二人を真顔で見つめながら私が顔を青ざめると、相沢さんが私の股に後ろから頭を入れてようとしてきた。






「殿、殿!! 私が馬になりもうすぅ!! 私に乗って奴と一騎打ちを!!」


「ちょっ……! 相沢さん恥ずかしいから止めてよ!」


「ハッハッハッ!! 騎馬戦じゃあぁぁぁ!! 戦じゃあぁぁぁ!!」


「ヤダってばぁ!! もう、相沢さんっ!!」





頭を入れるのと、それを防ぐ事をお互い諦めずにやっていると、私の顔は赤面し始めた。



頬が熱いし、抵抗するのでやっと。



相沢さん、力強いし……というか、何で騎馬戦……?