(ううっ……何なんだろう。何か頭に当たって床に落ちた……)





「涼花、大丈夫?」

「う、うん……」





後頭部を両手で抑えながら涙目になる。



床を見ると、そこには一冊の本。





「棚から落ちたのかな……」

「冷やさなくて大丈夫?」





心配そうな表情で藤崎君から頭を撫でられると、痛くても嬉しくて頬が緩む。




(藤崎君が優しい……嬉しいな)





「何ニヤニヤしてんの?」




笑っている事がバレると、急に慌て始めたけども。





「えっ!? いや何でもないよ!」





気持ち悪いとか思われたくないし。
にやけそうなの我慢しとかなくちゃ。





「涼花……」

「何? 藤崎君」





藤崎君は両頬をパシパシ叩いて気を引き締める私に、床に落ちた本を拾って見せてきた。