「ねーちゃん、行こうぜ?」
インターフォンが鳴ったのでドアを開けると、部屋の前に大きなキャリーケースを片手に持った相沢さんが立っていて驚く。
(行こうぜって……どこかバカンスにでも行くつもりなのかな?)
大きなサングラスをかけて、リゾート柄のマキシ丈ワンピースとヒールの高いサンダル、麦藁帽子姿。
そんな相沢さんに私は首を傾げ……
「どこに?」
「しゅっぱーつ!!!」
た瞬間、手を引っ張られて無理やり外へ連れ出された。
(え?……えぇぇぇぇえ!!)
「相沢さん、どこに行くの!?」
「どこって藤崎の家でしょーよ」
「ふっ!藤崎君の家!?何で!?」
「お泊まり会するって昨日言ったじゃぁーん」
「おっ!お泊まり会ぃぃぃ!?」
アパートの廊下を歩きながら叫ぶと、私はようやく今の状況を理解する。