* * *

「と、いうわけで、私やっぱり藤崎君に告白するよ……」


「どういうわけだよ」





翌日の放課後、玉川君が部屋に来たので打ち明けると、私に玉川君は真顔で言った。



ソファに並んで座っていると、テーブルに置いたマグカップのココアの甘い香りがしてくる。






「何で急にそんな展開になってんの!?おかしくねえ!?いやおかしいだろ!!橘、藤崎に告白しないっていう俺との約束はどうなったわけ?」


「別に今すぐ告白するとかじゃなくて、多分するとしても卒業するまでとかだよ……?」


「卒業するまで?」





ポカンと口を開けると玉川君は少しの間黙り込み、






「じゃあ俺がそれまでに頑張れば良いか……」





何かを呟いたけど、何て言ったのか私には聞こえなかった。




(今、何て言ったんだろう……)





「ねえ橘、何かあったら俺相談乗るから。俺の事頼ってよ?」






優しく微笑む玉川君に、私は聞けないまま頷く。


玉川君の笑顔は晴れやかで、もう私に失恋した時の落ち込んだ表情は一切なかった。