体力と気力を使い果たしたのか、ぐったりして人形のように動かない相沢さんを降ろすのは簡単そう。



そのまま相沢さんをお姫様抱っこすると、玉川君は無言でくるりと私に背中を向け、スタスタと歩き始めた。




(ちょ……ちょっと)




「ちょっと待たんかーい!!」


「ん?何?橘」


「今まで見てたの!?」


「そうだけど」





私が叫ぶと立ち止まってこっちの方を見た玉川君との会話で、私はようやく気づいた。




玉川君には義理と人情っていうか、心がない。




まるでロボットの様に冷たい。




この人にとって他人なんてどうでも良いんだ……。