「あ、あの……」

「青ちゃん、やっぱり浮気してんでしょ! 相手は橘さんだったの!? だからこの部屋に引っ越したんでしょ!?」






私が話し掛けるのを無視して急に相沢さんは玉川君を睨みつけると、降っている雨の音なんかかき消してしまう様な勢いで怒鳴った。






(え……? えぇぇぇ! 何で私が玉川君の浮気相手に!? というか玉川君が浮気!? これはまずい現場に出くわしてしまった!)





2人を見ながら私は慌てて部屋の中に引っ込もうとする。


だけどすぐに対抗して怒鳴る玉川君の言葉を聞いて、ドアを閉めかけていた手を途中でピタッと止めた。







「ああ、そうだよ! 俺が浮気してんのは橘だ! 」






(えぇぇぇ! ちょっと、何でそんな嘘つくの!? 私玉川君と浮気なんてしてないのに!!)






一気に体中の血の気が引いていく。




そんな私をもっと陥れるかの様に相沢さんから睨まれると、その場を動けなくなってしまった。





蛇に睨まれた蛙とはこの事。