私は、桜田姫(おうだひめ)。この春から宮野高校に入るの。中学の時はある理由でイジメにあって、友達がいなかった。でも唯一私の友達になってくれた佐藤花穂(さとうかほ)。私は花穂がいればそれでいい。他に何もいらない。だから、花穂と同じこの宮野高校に入学したの。
「姫ー!何してるの?早くしないと始業式間に合わないよー?」
「あ、はーい」
「もー。姫はのんびりなんだから!」
「ごめーん!」
「まぁ、許す(笑)
さ、早く行こ!」
「うん!」




「うわー!たくさん人がいる!あ、あの人
カッコいい♡ふふっ♪たくさん友達できそ
ー!ね?姫?」
「う、うん。そーだね。」
嫌だよ。あの人達に花穂とられちゃったら私またイジメられちゃうよ…。それだけは嫌だよ!
「どーしたの?姫?」
「え?何でもないよ。」
「それにしても姫と同じクラスで良かった
よ!違ったらどーしよーって思ってたから
さぁ!」
「ほんと!私も花穂と一緒で嬉しい♪」

「えー、ただいまから入学式を始めたいと思
います。生徒は静かに。」

「あー楽しみだなぁ♪」
何か複雑な気持ち。花穂をとられたくない気持ちと、花穂の友達作りを応援したい気持ち。
私はどっちを選んだらいいんだろ…。
あー!そんな事で悩んでるなんて馬鹿みたい!
答えは決まってるじゃない!花穂の友達作りを応援するのよ!大丈夫。花穂に他の友達ができても私とも友達でいてくれるから。心配しなくていいよね…。

「…ーこれで始業式を終わります。生徒の皆
さんは各クラスに行ってください。」

「はぁー。やっと終わった。長かったなぁ。」
「ねー(笑)」
「クラス行く前にトイレ行ってもいい?」
「いいよ。」
「姫はいかな……」

ドンっっっっ!!!!!!!!!!

「さわんじゃねーよっ!このクソ教師!」
「それともなにか。俺らに文句でもあんのか
よ。」
「いや、あの、その…入学式なのでその制服
はちょっと…」
「あ゛?黙れや!」
「ひぃぃぃぃぃっ」
「おい。お前らやめろよ。回りのやつが迷惑
してんじゃねーかよ。」
「千歳は黙ってろ!これは俺らの問題なんだ
よ!」
「はぁ。ったくお前らは。」

「えっ!?なになに!?入学早々喧嘩!?」
「そ、そーみたいだね…」
「やるねぇー♪誰よ?あのイケメン男子♪」

「千歳くーん。もー探したんだから!」
「んあ?誰だよ?お前。」
「もー、酷い。田中莉愛だよ。同じクラス
の!」
「田中莉愛…?知らねーよ。」

「モテる男子は大変だねぇー。」
「そんなことより、早く行こーよ!花穂!」
「おっ!そーだった!ごめんごめん(笑)」
「もー!」
「さ、行こー!」
「うん!」
…何だかあの人怖いなぁ。私の苦手なタイプかも…。関わらないようにしなきゃ。

「早く行こーぜ。お前ら。」
「ちっ!覚えてろよ。コノヤロー」
先生に向かってよく言えるよ。すごい…。
「ん?」
バッ!
やばい…。今目あっちゃったよ…。
どーしよー。
「何してんのー?姫ー?」
「は、はーい」



「ふーん。姫ね…。」



「ふー♪すっきり♪じゃあ行きますか!」
「うん」

ガラガラ

「おー!可愛い子にカッコいい人がいっぱい
だぁ!」
「そーだね。」
ふぅー。よかった。あの人と同じクラスじゃなくて。
「それでは、皆さんそろったので初授業を
始めます。私は担任の二階堂です。よろし
くお願いします。えー、では自己紹介をし
てもらいましょう。」
「はい。私はー……」

「……えー、では次の人お願いします。」
「はいっ!私は佐藤花穂です!皆と友達にな
りたいのでよろしく♪」
「佐藤さんですね。皆さん仲良くしてくださ
い。では、次の人お願いします。」
「は、はい。私は…」

ガラガラっ!!

「遅れてすんません。」
「間に合ったー!セーフ♪」
「間に合ってねーよ!でも俺はセーフだけど
な♪」
「何でお前がセーフで俺はダメなんだよ!」
「あ゛うっせーな!」
「やろーってのか?あ゛?」
「何だと?コンニャロー!」
「おめーら、うっせーつってんだろ。少し
黙ってろ。」
「へいへい。」
「えっとー、俺の席は…あっ!!!姫!」
「ふぇっ!?」
何で、何で、何でこの人がいるのー!?
てか、何で私の名前知ってるの!?