あたしに笑って欲しくて言ったんでしょ。
そんな冗談、笑えないよ
複雑な気持ちで肩を殴った。
その拳には力なんてなかった。
「信じてくれるまで殴ればいい。バカな俺を殴ってくれ」
今の言葉で殴るのを止めた。
その代わり、もっと強く抱きしめた。
「俺のこと、信じたのか?」
「うん」
「やっぱ・・・」
「嘘なの?」
「違う。変んねぇな」
蓮は何回この世界に来たんだろう。
あたしたちのこと、なんでも知ってるよね。
「蓮…瑞樹のこと好きでごめんね」
「バカ言うな。俺がくっつけてやったんだよ」
「そうなの?」
「前の世界では二人がお互いの気持ちが分からないまま死んでいった」
やっぱり、蓮は何度もこの世界に来ているような口調だった。
なんだか悔しくて、瑞樹のことが好きなのにあたしは全然、瑞樹のことを知らないなんて