「あたし、戻りたい…瑞樹が死なないように過去を変えたい…だけど、そんなこと無理ってわかってるから、つらいよ」


涙を拭っても拭っても止まらない涙は雨のように地面に落ちていく。


黙ってあたしを抱きしめてくれる蓮は背中を優しく叩いて落ち着かせてくれる。


 「加呼吸になるぞ。ゆっくり息をはけ」


蓮のシャツを強く掴んで抱き枕のように力を込める。


言われたとおりにすると、だんだん落ち着いてきた。


 「黙って聞いてほしい」


体を揺らしながらあたしを落ち着かせる蓮が気持ちよくて目を閉じて聞いた。


 「俺はずるい人間なんだけど」




 「未来から来たんだ。だから蓮が死ぬことを知らなかったとなれば嘘になる。だけど、いつか分からなくてずっと探してた。バカな俺は見つけきれなかった」