バカみたいにウキウキしているあたし。


だけど、そこには未来なんてなくて


瑞樹は信号無視したトラックに跳ねられた。


すごい勢いで飛ばされて地面に叩きつけられた。


あたしは全てを見ていたのに


腕を引くことも、叫ぶことも何もできなかった。


もろついた足取りで瑞樹に近づいて体をゆすった。


 「だっせーな。俺」


小さな声で笑ってあたしの手を弱く握ってくれた。


全然笑えない。


冗談止めてよ


大丈夫だって、笑ってよ


ずっと一緒にいるって言ったじゃん。


ねぇ…ねぇ?


弱く握った手がするりと血に染まった道に落ちた。


何もできなくて


ただ、手だけが震えて


誰かが呼んでくれた救急車に瑞樹が運ばれていった。