「お前はさ、依來は」


初めて名前で呼ばれたような気がして少しドキッとした。


瑞樹を見ると少し頬がピンクに染まっていた。


なに照れてんだろ・・・


照れるといつも口をとがられる癖があるからすぐにわかる。


 「もし…もしだけど、俺と蓮、付き合うならどっちと付き合う?」


瑞樹からそんなこと聞かれんるなんて思ってもいなかった。


そういえば茜にもそんなこと聞かれたな…


あたしは答えられない。


だって胸が苦しくなる。


一人になんてさせられないよ。


 「あ…いまの無し。忘れろ」
 「考えたことなかった」


手すりに背中を向けて地面の小石を靴で転がしていた。


 「もしもだよ?あたしが蓮と付き合ったら瑞樹は一人になっちゃうじゃん。あたしが瑞樹と付き合った時も一緒だよ」