「もっと優しくしろ」
「はい…」
助けてほしいと戸田に目をやったが、すぐに逸らされた。
こんなことになるんならどうしてあたしを助けたのよ!
少しはこっちの身にもなってよ…
深くため息を漏らした。
「人の前でため息してんじゃねぇよ」
「す、すいません」
保健室の先生が嬉しそうに微笑んでいたのをあたしは憎んだ。
その日の帰り道、アイスの袋を片手に通り道であるゲームセンターの前を通った。
自動ドアが開く音に目をやると、出てきたのは秋津だった。
「「あ」」
一瞬足を止めたが、すぐに歩き始めた。
「おい、待て」
なんで話しかけてくんのよ!
こっちはあんたのせいで一日台無しになってるのよ!?
アイス食べてんだから放って置いてくんないかな?
「おい!」
右腕を引っ張られてアイスの棒を落としてしまった。
「あーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「うっせーよ」
「どうしてくれんのよ」
「何がだ」
「あたしの今日の一日と、この落としたアイス!」
「どーもしねぇし」
「・・・言ったあたしが馬鹿だった」
秋津が掴んだ右腕を乱暴に振りほどいて
あたしは最悪な足取りで家に帰った。