「おい」
 「はい」


後ろであたしを庇ってくれた男子が立っていて、私に低い声で言った。


 「運ぶから手伝え」
 「はい・・・」


言われるがままに手を貸すと、その男子が今年転校してきた戸田蓮だった。


いつも物静かな戸田がこんな人だとは思っていなく、少し驚いた。


戸田が喧嘩の相手に首を回したから、あたしは秋津を運ぶことになった。


……気が重い


もし、けがが治ったらあたし絶対殺される。


だって、蹴ったんだよ?


さすがに怒るでしょ…


馬鹿だな、やること全部


あたしたちは怪我をした二人を保健室まで運んだ。