「寒いね」
腕をさすると、あたしの頭の上に上着を乗せられた。
「朝は寒いんだから上着くらい持ってこいよ」
「あったかー」
「少しはこっちの身にもなれ」
瑞樹の横顔をみると、最初に出会ったころとは全然違う顔があった。
大人だけど、子供だなぁ…
前に茜と話したことが気になって聞いてみた。
「あのさ、」
「ん?」
手すりに腕を乗せて前のめりになった。下の方が良く見えて、風が気持ち良かった。
「あたしたちって、気がつけばずっと一緒じゃん。どうやって出会ったんだっけな…」
忘れかけそうだったあの日の出来事を思い出す。
目を閉じると、うっすらと記憶が白い煙をまとって上手く思い出せない。
ーーー一生の友達だって思った瞬間をーーー