「な、な。肝試ししようぜ」


そう切り出した蓮を睨む。


 「そっかぁ、依來は怖いの駄目だったもんね」


そして茜も睨む。


 「行くか!」


瑞樹が私を見て微笑みながら立ち上がった。
茜の家の裏手にある森には、江戸時代にそこで武士たちの戦いがあったと言い伝えられている。丑三つ時にそこに入ると帰れなくなるといううわさがあった。


一応、今の時刻は八時半。全然丑三つ時ではないものの、薄気味悪い。


あたしは、茜の腕につかまって歩いていた。


 「や、止めようよ」


震えた声で呟く。


 「びびり」


瑞樹が懐中電灯を顔の下に持ってきて覗きこんできた。


 「止めてよ~」


三人はクスクス笑いながら森の入口まで歩いた。


 「じゃぁ、別れよっか」
 「では、ここは公平にグーとチョキで」


四人が円になって最初にグーを出す。


 「「「「グーとチョーキで別れましょ」」」」

 「つっ~~~」


最初に声を出したのは、あたしだった。