それを横目にアイスを口の中に入れようとした時だった。


後ろから誰かがぶつかってきてアイスが道に落ちてしまった。


ポロリと音を立てて落ちたアイスは跡形もなく無残な姿になった。


それを見て笑うものが一名。


 「お前、ちゃんと食えよ。ホントドジだな」
 「瑞樹がやったの」
 「俺は、お前にぶつかっただけだ」
 「許さん」
 「許せよ」
 「呪ってやる」
 「わりぃって。どうせでっかい口開けて食おうとしてたんだろ」
 「そんなことないもん!弁償してよ」
 「なんでだよ。行こうぜ蓮」


時々見せる瑞樹のこんな姿は正直ってあたしたちにしか見せない。


そんな特別な瑞樹も良いかなって思う。


瑞樹があたしたちを置いて先に行った。


後ろから来た蓮があたしの髪を撫でた。


 「後で俺がおごっから」
 「ホントに!?」
 「あぁ…だからそんな膨れた顔すんな」
 「してないもん」

蓮に軽くでこピンされてその部分をさする。


いつもそんな優しい蓮に甘えてばかりなような気がする。