「今日どこ行く~」


放課後、自転車に乗っている蓮の声が前の方で聞こえる。


 「どこ行くか」


瑞樹が背伸びをしながら言った。


 「何する~」
 「暑い」
 「暑いな」
 「あっつい、あ、アイスだ」
 「お」
 「いいねぇ」
 「決定?」
 「「決定!」」


真っすぐな道を三人で歩いていた。


話していた順番は、蓮、瑞樹、あたしの順で、やることは10秒で決まった。


なんとも平和的で微笑ましい会話だ。


坂に差し掛かると、蓮が「おっさき~~」と坂を下って行ってしまった。


あたしたちも坂に差し掛かって下りる途中で「あ」石に転びかける。


手を前に出して体で受け止める体制は取っていたが、瑞樹が支えてくれた。


 「気をつけろよ。朝から不幸続きなんだろ」
 「あははは…」


なんでか今日は普通の言葉で返せなかった。


多分、茜との会話のせい?