言葉を濁し男は言うが、すぐにおれをぎょろりと睨みつけると口を尖らせた。



「この事は誰にも言うんじゃねぇぞ…。俺がこんな事思ってるって知られたら…一家諸共惨殺だからな…。」


おー怖い怖いと足早に廊下を歩く男の後ろを、おれは頷きながらも複雑な気分で着いて行った。



しばし廊下を歩き着いた場所は、昨日イハルと行った庭が一望できる広い間。

彼女はここで王と会うようだ。

男とおれが行った時にはもう既に沢山の食器が準備されており、部屋一杯に施された装飾の鈴が風が吹く度に可愛らしい音を奏でている。

庭には大きな舞台が設置され、ここで舞楽等を披露するのだろう。


おれは男に言われた場所に酒瓶を置き、備えられているものの場所を微調整する。

男も同様に準備を終え最終確認をすると、来た道を戻り始める。