自分の部屋に着くと、食卓テーブルの上に買い物袋をドサッと起き、
部屋着に着替えてエプロンをつける。
今日は麻理子にとって、料理を楽しめる余裕のない日だったから
出来合いのものや 餃子等のチルド製品ばかりで、調理する野菜も少なかった。
一人で簡単に晩御飯を済ませると、嫌なことを全部済ませたいのか、
早々と荒いものをして風呂に入った。
麻理子がリビングであつあつの緑茶をフーフーしながら飲んでいると、
呼び鈴と指の関節をドアに当てる音がした。

ピンポーン コンコンコン

「はい」
麻理子はドアのチェーンをかけたままドアをあけるとそこには、
俯いたまま左右にゆらゆらと体を揺らして立っている龍がいた。

「ちょっとぉ・・こんな夜遅くにどうしたの?酔っ払ってるの?」
麻理子が問いかけても顔を上げようとしない、
低い声でボソボソと返事を返す龍。

「勉強・・・・しすぎて晩御飯食べるのわすれてた。」

「集中して頑張ってたんだね・・・偉いよ。でもちゃんと食べなきゃ」

「うん・・・実は昼も食べれてない・・・忙しくて・・・。」

「もうしょうがないなぁ・・・残り物でいい?」
麻理子は、あきれ果てたように上半身を反り返り、腕を組みながらそう言うと、
龍は俯いたまま頭を上下に揺らして「うん おねがい」とだけ言った。

ドアを開けて龍を迎え入れると、龍はフラフラと歩み寄ってくる。
今にも倒れそうで、他にもいろいろ言いたいことがあったけれど
なにも言えないでいた。
とにかく食べさせないと・・・