「ア・・アルバイト?・・・浪人・・・」
女性社員達は、眉間にシワをよせ、一歩後ろに後退する。
その姿を見て満足げな寺山、 そこへ

「りゅ・・龍君は希望の大学があるのよ。 適当な所で手を打たないのが偉いじゃないっ
わ・・・私なんて、この子くらいの年にはしたい事も目標も見つからなかったわぁ~えらいわよね~」
わざとおばちゃんぶる麻理子
「あ・・あは そっかぁー偉いねっ アルバイトがんばってね」
と、女性社員。
龍は気まずそうに会釈だけした。
寺山は龍の頭をポンポンと叩くと、受付に向きを変えて
「じゃぁ、石川さんまた」
爽やかに片手を上げる。
「あ・・・はい。」
女性一同男性社員と夕子の後姿を見送っている。
龍だけが後ろを振り向き、麻理子の方を見つめていた。
(なによ・・・ちゃんと前向いて歩きなさいよっ)
目で合図を送るが龍は自動ドアが開いてもまだ、麻理子の方を見続けている。
夕子がそれに気付き、腕を引っ張って前を向かせた。
「フゥ・・・やれやれ」
安心したのもつかの間、寺山達の姿が消えるやいなや、女性社員達が麻理子を取り囲んだ。
「な・・・なに?」
「ちょっと・・・あんた寺山さんとどんな関係?」
「か・・・・関係?? なっ無いわよ関係なんて」
「じゃぁ何で名前覚えてもらってるのよー!」
「ち・・・違う違うの、 あ、あのね、 雨が降っててね、あの・・」
「まーまーまーまー 」受付の一人が女性社員達を止める。
「石川さんは安達さん?さっきのアルバイトくん狙いだから いーじゃないっ ねー?」
「・・・・・・あーそうなんだ?」
「そっかそっか、 うんうん。麻理子にはお似合いだよ!」
「私はやっぱりエリートがいいなぁー」
皆口々に言いたい放題言っている。

「え? 何言ってるの?ちっちが・・・むぐ・・」
「・・・バッバカ 私がせっかく助けてあげたのに」
さきほど仲裁に入った受付の女性が麻理子の口を塞ぎながら、耳元で囁いた。